しのぶが店子をやっているゲイバーに、同僚につれられてやってきたマコト。
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どう見ても外国人にしか見えないその風貌に興味を抱いたしのぶだが、
オネエとノンケではそもそも恋が始まるきっかけすら見えなかった。
そんなある日、マコトが店に血まみれであらわれて…!?
発売日:2017年 3月28日 著:古宇田エン 定価:639円(+税)
Contents
○「オレとあたしと新世界1」登場人物
華やかなキャラクターたちをご紹介。
しのぶ…ゲイバー勤務のオネエ。はっきりした性格で負けず嫌い。基本的に特定の相手がおり、彼氏を切らさない、もしくは遊ぶ相手がいる。流暢な英語を話す。
誠…日雇い土木作業員。ノンケ。堀深い顔立ちといい恵まれた体格といい、頻繁に外国人と間違えられるが日本人。人との繋がりが希薄なまま生きてきた。
▽ゲイバーの愉快な仲間たち
しゅんちゃん…口ひげと顎髭を携える。好きになる人は何故か毎回所帯持ち、という過酷な業を背負っている。
キバゲン…強面で怒ると怖い。オネエ達のボス的存在。
ハナ…明るくて可愛い系男子。髪がふわふわ。
○「オレとあたしと新世界1」ストーリーと見所
笑いあり、涙あり、感動あり。
表紙や背表紙からは想像出来ないような、深い深いお話が展開されていきます。
各話ごとにご紹介します。
※なお、第3話以降が物語の核心となる出来事が起きるのですが、そこに触れているのであらすじバレ注意です。
知りたくないという方はいらすとやさん画像からいらすとやさん画像まで、飛ばしてお読みください。
【第1話】
2014年8月。
仕事終わり、同僚に連れられて誠がやってきたのは、観光用とも言われる活気あるゲイバー。
例の如く外国人と勘違いされて英語で話し掛けてきたのは、ここで働くオネエのしのぶだった。
土木作業員だと話す誠に、家の棚のネジが外せなくなった事を相談するしのぶ。
それから二人の距離は急激に縮まっていきます。
誠の職場の糸目君らが登場し、さっそく一つ目の事件が起きます。
二人の出会い編になりますが、一番最初の冒頭の2頁は少し先の未来、百合子という女性が病院に居る場面から始まります。
これが本作後半から肝になってくるシーンです。読了後、読み返すと納得、となる構成です。
【第2話】
それから4か月後、誠は別の現場へ新たに配属され、しのぶとはゲイバーの仲間を交えて鍋パをする仲にまで発展していた。
そんなある日、しのぶが誠に嘘をついて男と遊びに行ったことが発覚して……?
普段は怖いもの知らずで飄々としているしのぶの、弱い部分が明らかに。
そして第2話中盤からは、紙面がとんでもないことになります。
ゲイバーの系列店で永遠のライバル、”サンライズ”vs”ブルームーン”というオネエだらけのバトルが真夏のビーチで開催される。
こちらが第2話中盤。
しっとりとしたドラマチックな画風から一転、とてつもなく熱気を感じる猛々しい紙面になります。
ギャップがすごいです。
そこから更に転じて、大変な出来事が起こります。
以下、盛大な「転」部分注意。


衝撃的な展開ですが、決して暗いお話ではありません。
愛に溢れた温かいストーリーが展開されますのでご安心下さい。
○追加登場人物紹介
小百合…しのぶの母親。ゲイがバレて以来ずっと疎遠だったが、今回の事故を知って突如駆けつけた。
東條…リハビリ担当医。体格が良くて物腰柔らかな熊系男性。しのぶの看護に懸命なあまり、風邪を拗らせた誠を介抱する。
【第3話】
ビーチの帰り、お店の一同が乗ったバスが交通事故の被害にあってしまう。
けが人も多数いたのだが、皆順調に回復し、退院できた。
ただ一人、しのぶを除いては。
しのぶは昏睡状態に陥っていた。
冒頭に登場した”百合子”が実はしのぶの母で、ずっと絶縁状態だったものの病院へと駆けつけました。
事故でしのぶだけ眠りから覚めないなんて、予想外過ぎる展開。
【第4話】
三年の月日が経ったが、依然としてしのぶは眠っていた。
誠はしのぶに対して献身的な介護及びリハビリを続けている。
変わったこともいくつかあり、誠が会社勤めになったことと、柔らかくなった誠と百合子の関係。
そして、リハビリを担当する東條先生の存在。
夏の恒例行事、サンライズvsブルームーンも再び開催。
【第5話】
東條と付きあうような形で落ち着いていた誠だったが、やはり頭にあるのはしのぶのことで。
「自分を一番に考えなさいね」と、百合子からは背中を後押しされていたものの、誠の気持ちはいつでもしのぶと共にあった。
しのぶと出会った頃の誠は冷めた人間でしたが、今現在の誠は見違えたように大成長を遂げました。
【第6話】
ついにしのぶが目を覚ました――――!
事故から10年。
長い夢から覚めたしのぶだったが、意識が覚醒したことで体力を使いほどなくしてまた眠ってしまう。
三日後、再び目覚めたしのぶの目に映るのは、髭を蓄えて良い男になった誠の姿で。
起きてからのしのぶについて、悲壮感や焦燥感のある暗めの描写は一切無く、しのぶらしい明るく激しいテンポで描かれるので、とても面白いです。
特に10年経ったことを理解しようとするしのぶが笑えます。


○古宇田エン先生、作風について
・洋画や海外ドラマのような角度でキャラクターを描かれたシーンが多くて、非常に描写がお洒落。
それとは逆に、勢いのあるギャグシーンも多数登場します。
・しのぶの背格好然り、腕や手の形、顔の角度に至るまで、色気をふんだんに含んだ様相で描かれます。
とても艶やか。
・オネエ達の会話や、オネエ同士の争い等の描写がたくさんあり、彼らの世界をとてもユーモアに楽しめます。
○「オレとあたしと新世界1」おしまいに
順風満帆とは真逆を行くこちらのお話。
「え、そこに繋がるの?」となったりもして構成が非常に面白いので、かなり強めの感動が欲しい方は是非読んでみてください。
それから全くもって重く暗い話ではないので、ご安心を。
ハートフルで温かな物語です。
基本的には愉快なゲイ達で物語はテンポよく進みますので、楽しめること間違いないかと思います。
感動がぎゅっと詰まった「オレとあたしと新世界1」、とってもおすすめの作品です。
何回読んでも奥が深いし、何度読み返しても楽しめる一冊です。

▽古宇田エン先生お仕事情報WEB SITE