最強魔王×最弱勇者!
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不老不死で最強の魔王・ウィスペドの元には、毎日のように勇者が戦いを挑みにくる。しかし、戦いたくもないのに魔王として生まれ、死ぬこともできないウィスペドの心中はいつでも孤独だった。そこに、ある日現れた勇者・トゥルー。ヘラヘラと笑い、武器も持たずに丸腰でやってきたトゥルーをウィスペドが成敗しようとすると、「王様のお城に住ませて」と勇者としてあるまじきお願いをしてきて……!?
発売日:2016年 1月27日 著:犬時/笑平 価格:690円(税抜)

Contents
▽登場人物
魔王とモンスター、勇者と人間が存在するこの世界。主なキャラクターをご紹介します。
魔王ウィスペド…モンスターの世界を統べる魔王。不老不死で、何千年の時を孤独に生きてきた。
トゥルー…勇者。自身でも制御不能な馬鹿力を持つ。世間や常識をあまり知らないひよっこ。
ラスト…中ボス。髭を蓄えた恰幅の良いおじさん。
ステイ…魔王秘書。額に一本角が生えている。
勇者達…魔王を滅ぼすという大義名分の元、朝から晩までやってきては戦いを挑む。
モンスター達…村を作ったりなどしている。働き者たち。
▽ストーリー
各話タイトルと共に、それぞれのあらすじと見所をご紹介。
Ⅰゆうしゃがあらわれた…!
いつものように勇者を追い返す魔王だったが、此度の一人でやってきた若造からは殺意が全く感じられず、彼だけ少し毛色が違う様子。戦いを促すも、何故か抱きつかれてしまい……?
戦う気の無い勇者の狙いはなんだったのか。彼の底抜けな明るさと素直さと、その裏にある力をコントロール出来ないという悩み。魔王にとって、次第に彼が気になる存在となっていきます。
勇者受付時間が書かれた看板が城の前に立ててあってりと、ユーモアたっぷりの世界です。
Ⅱゆうしゃはかしこさが2あがった…!
相変わらず破壊神なトゥルーだったが、夜には「字を教えて」とやって来たりする。そんな彼の無邪気さを、心なしか受け入れ喜んでいる様子の魔王。
魔王は戦闘中、相手の攻撃により体がバラバラになってしまいます。トゥルーの無垢さだけではない心からの優しさがわかる回です。
夢精を知らずに相談してきたりと、ひよっこぶりを発揮。
Ⅲゆうしゃはまおうとともだちになった…!
魔王様の力に匹敵する強大な何かが近づいてきている、との占い結果が。念のため、魔王は祭り開催の延期を決める。
トルゥーの過去が明らかになります。子供トゥルーがとんでもなく可愛いです。そして夢精を防ぐべく、寝ているトゥルーに対して魔王があることをしてあげます。
生い茂る森に光が差し込む風景など、澄んだ空気感が伝わってくるような絵がとても綺麗。
Ⅳゆうしゃは「かなしい」をおぼえた…!
図書館で眠るトゥルーを見つけた一同だったが、彼の体温が低いことに気付いた魔王は医者を呼ぶよう命ずる。
魔王の頭にはある願いがあり。
そして何故か、 眠ったままになってしまったトゥルー。
Ⅴゆうしゃはしんでしまった…!
トゥルーは依然目を覚まさない。そんな中、やってきた勇者達を相手にする魔王だったが、足元には村の皆が準備した祭りの飾りが壊され転がり、またラストが無残にも倒されていた。
魔王は戦闘の最中、いずれは朽ちていくものの儚さを語り、彼の幼少期も少し明らかになります。
この章のラストには、城に響き渡る悲鳴と共に、奇怪な出来事が起こります。
哀愁に満ちた魔王の表情と、胸を締め付けられるようなとても切ないシーン。
Ⅵおや、しんだはずのトゥルーが…???
死んだと思ったら、強くてニューゲーム。
二回り程大きくなって復活したトゥルー。復活理由はぜひ本誌でご覧ください。
二人が良い感じになったシーンでカチコミ勇者に頭を飛ばされた魔王。それを見て怒るトゥルーがとても格好良いです。まるで別人のよう。
書き下ろし ウィスペドくんの悪夢
幼少期の魔王、回想再び。
切なくて悲しい。しかし今は二人仲良く祭りに参加しているよ、というお話。
トゥルーと魔王、出会えて本当によかったな、と思う最終章でした。
▽犬時/笑平先生、作風について
○物語の内容にも絵にも、独自の世界観があります。キャラクターの表情のニュアンスが大きめで、笑顔はすっごく笑顔、怒った顔はすっごく怖いです。表現のふり幅が凄いです。
○原作と漫画で分かれているゆえか、ストーリーが常に安定しており、お話が非常に面白いです。BLでありながら物語自体が凄くわくわくするものなので、どんどんと読み進めたくなる本作です。
○風景や周りの無数に居るモンスター達にも絵のクセが映っているので、世界観を隅々まで存分に楽しむことができます。
▽最後に
感情豊かなキャラクター達の織り成す、最高な物語です。ファンタジーな設定でいて、登場キャラクターの心情はリアルに描かれています。
とてもお薦めしたい一冊です。
犬時先生が、平成28年10月に急逝されました。 こんなにも面白い作品を世に生み出して下さった先生は、本当に偉大な方です。大切な作品達は、きっとこれからも多くの人の人生を豊かにしていくことでしょう。
どうか安らかにお眠りください。心よりご冥福をお祈りいたします。