【感想】「四人のにびいろ1.」akabeko

ヤクザ一家の息子、誠と相は異父兄弟。
「俺を蹂躙しながら兄貴はあてのない愛を欲して叫んでいる」
異様なつながりを経て、主従関係を結んだ誠と相はヤクザとなった。誠が囲い始めた愛人・ベティの逃亡をきっかけに、ベティに惚れたヤンキー・勇が十川兄弟の歪な関係に引きずり込まれ…!?

https://www.shodensha.co.jp/onblue/
akabeko先生tumblr

Contents

▼登場人物

十川誠(とがわまこと)(攻):893一家の長男。相とは異父兄弟。素行が悪く凶暴で、誰の手にも負えない狂犬。

十川相(とがわあい)(受):誠の弟。慎重かつ冷静、落ち着いた性格をしている。

ベティ:誠の愛人。誠のペットやオモチャだと自称。

(ゆう):一般ヤンキー。面倒事に巻き込まれるタイプ。


▼ストーリー

本作では主に十川兄弟、ベティ、勇がごっちゃにぶつかり合い絡み合って物語が進みます。

各話毎にご紹介。


/一発目

――――半裸で交差点に立つベティをたまたま見かけた勇は、そのアンニュイな表情に魅せられ彼を連れてその場から走り去る。それをビルの一室から眺めていた十川兄弟の兄・誠は、ベティを連れ戻すよう相に頼む。

いきなり上着一枚の公然猥褻罰ゲームシーンから始まります。とっても怪奇的なオープニングが最高ですね。
道行く人たちがベティを見て見ぬふりをして通り過ぎていく中、一人ぐらいは「ほっておけない」と思ってしまう人間がいるのでしょう。それがマイルドヤンキーの勇です。
自宅に連れ帰るとベティにエプロンを着せ、裸エプロンが出来上がる。そして彼の色気に中てられて、危うく手を出しそうに……。
完全に勇は巻き込まれましたね。


/二発目

――――相に見つかり連れ戻されるベティと勇。誠はベティに自身に跨るよう言い、相にはそれを見る勇のモノを扱くよう命令する。

誠×ベティ、相×勇の構図が。
一発目からそうですが、ベティの色気が凄いです。目線とか汗とか半開きの口とか。しかし何考えてるのか、よく分からない。謎。
そして893に囲まれて強制的に扱かれて果てる所を皆に見られる勇がとっても可愛い。
二発目にして非常に見ごたえのあるシーンとなりました。

言うことが滅茶苦茶な誠。一方で、相は彼を制止し、一般人の勇を庇うような行動に出る。
乱暴な誠、冷静沈着な相、という非常に対照的な二人。相は誠のことをブレーキの効かないただの馬鹿だと思っているのか、それとも。


/三発目

――――昔の記憶。母に相手にされなかった、誠の幼い頃の記憶の断片。
そして現在、 「ベティを連れ去ったことはチャラにするから、仕事に付き合え」と誠から言われ、制止する相を殴り勇は連れていかれる。

回想シーンが入り、徐々に誠がこうなってしまった理由が明らかになります。

そして今現在、勇がピンチ。
この辺りから893のナンバー2は誰だなんだって出てきます。

私は結構この893漫画に出てくる跡目争い・派閥・何々傘下、みたいなのが覚えられなくて不得意です。人名と顔、相関図の理解に時間がかかってしまう……。でも本作はかなりシンプルな方かも。


/四発目

――――母は父の血が流れる誠を毛嫌いした。どうして自分だけ愛されないのか、彼には理由を知る由もなく……。誠はただ母に愛してほしかっただけなのに。
高校生になり、誠は自分が女を愛せないことに気付く。勢いのまま無理矢理相を抱き、そして抱かれる相は痛みの中で、こう思う。
「兄貴には俺しかいない」と。

もう……子供時代の誠が可愛くて可愛くて……
つらい!!!!かわいそう!!!!
相と差別されすぎていて、読んでいて辛くなる。

高校時代の二人のお話も、かなり心抉られるものがあります。歪んだ愛しか表現できない誠と、それを受け入れる相もまた歪んだ・何かが欠けた人間で、互いを補うために二人でいようと相は決心します。


/五発目

――――誠が世話になった男、山之辺。しかし一方で彼は、無鉄砲の暴れ馬・誠が少々厄介になってきたと相に話す。
重役が一堂に会する定例会の場で口論が起こり、そこになぜか全くの無関係である勇が現れた。咄嗟に彼を庇う相。そして相は、裏切り者だと責められてしまう。

山之辺が誠を排除する流れかと思いきや、なんと誠が相を消す流れに。
とんでもない予期せぬどんでん返しが巻き起こってしまう。

あまり頭がキレるとは思えない誠でしたが、自発的か入れ知恵か。思わぬ行動力を発揮。

一巻はこの衝撃の展開で、幕を閉じます。


/Bonus track

――――子供の頃、誠は寝ている相の手を触り、目をキラキラさせていた。そして母親に見つかると「あんた何をする気?」と叱られた。

子供の頃の誠が再登場……
可愛さ爆発……愛しい……

現在になっても当時のことがトラウマになっている。そんな場面もこの章では描かれており、「あー本当にあのキラキラほわほわした子が彼なんだな」と、何だか感慨深い気持ちになります。気持ちが揺れ動かされる、絶妙な章です。


▼「四人のにびいろ1.」、何が最高か


1.言葉選びの秀逸さ

物語の展開において言葉はとても重要ですが、あまり説明が多すぎてページが文字だらけでも、ボーイズラブ展開に集中できなくてげんなりしてしまうもの。
ですが本作は登場人物の発する言葉に無駄がなく、長くない言葉で適切に状況や心情を伝えてくれるので、非常に読みやすいです。


2.キャラクターが特徴的で分かり易い

相対的な異父兄弟を軸に、とても味濃いキャラクター達が絡んできて状況が変化します。
各人が置かれる立場・背景が全くの別物だったりするので、誰が誰だか分からなくなり話がこんがらがる事がなく、物語にすんなりと入り込んでいけます
その分感情移入しやすいため、より深く作品を読み込めました。


3.ギャップ

誠と相の幼少期のシーンがあるのですが、現在の二人とのとんでもないギャップに心がやられました。
単に目がくりくりになったとかではなくしっかりと二人の特徴を捉えたままの幼少期なので、ますます可愛さが大変なことに


4.ノーマルプレイ一切無し

本作に登場するHシーンは全て無理矢理だったり見られながらだったりと、普通のラブラブHは全く出てきません。ただそのレ○プの中にも当事者たちの何か感情が動かされるものがあったりするので、どれも何かしら意味を含んでいます。関係性が垣間見えたり、見えなかったり。作品のヒントを持っているようなHシーンたち。


5.描かれる、本気の彫り物

akabeko先生が彫師の方に絵柄を依頼されたそうで、本格的というかもはや本物の絵が見られます。
濃淡のある細やかな線で、とても綺麗。


……たくさんありすぎて挙げきれませんが、面白さが本当に凄いです。


▼BLで、893で。ドキドキさせられっぱなしの、「四人のにびいろ1.」

十川兄弟の背景にあるものを散々見せられて、どんでん返しで終わる本作。
続きもので2.へと続く形にはなりますが、1.のみでも十分に重みのあるお話で楽しめちゃいます。

1.では結構謎なままだったベティ。このままでは頭空っぽのダッチ○イフですが、今後何か別の面を見せてくれたりするのでしょうか。

「四人のにびいろ1.」レビューはここまでになります。893ものであり歪んだ愛の物語、ぜひ読んでみて下さい。

ここまでお読みいただき誠に有難うございました!


akabeko先生かべうちサイト
【四人のにびいろ1巻】1話試し読み

 

【感想】「四人のにびいろ1.」akabeko” に1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です