【感想】「四人のにびいろ2.」akabeko

四人を飲み込む、貴道会動乱篇!
愛人のベティに惚れたヤンキー・勇(ゆう)を利用し、異父弟の相(あい)を組の裏切り者に仕立て上げた誠(まこと)。
勇とともに逃亡する途中、誠の渇求を自分だけに向けたかったのだとさもしい想いに気づいた相。
明かされるベティの正体が、四人を争いの核心に誘い出しーー…?

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Contents

▽登場人物

十川誠(とがわまこと)(攻):乱暴な暴れ馬。相とは異父兄弟。

十川相(とがわあい)(受):冷静沈着な弟。兄貴のお守り。

ベティ:誠のオンナ。

(ゆう):一般人のマイルドヤンキー。巻き込まれ型。

山之辺:ある一件から誠を可愛がるように。誠の親代わり。

九鬼(くき):関西から出てきた893。自称貴道会の下っ端・端くれ。

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▽ストーリー

「四人のにびいろ1.」のラスト、誠は相を裏切り者として仕立て上げた。突如追われる身となった相は、何も知らずその場に居合わせる勇を連れ、逃げる。

続編となる本作では、誠は山之辺と、相は勇と行動を共にする。

各話ごとにご紹介します。


/六発目

――――相に飛ばれ、苛つく山之辺は女性のいる店へと相を連れ出す。女性を殴り、犯すよう言われた誠は、拒絶反応を起こして嘔吐してしまう。
一方の相は勇を連れて外へと逃げだすのだった。

前作よりも状況は深刻で、シリアスっぽい始まりです。

女性を前に切羽詰まった誠がつい口にしたのは、相の名前でした。


/七発目

――――貴道会若頭は、九鬼という男からの電話に出る……。
相と勇はひとまずホテルに籠る。ベティの事が諦めきれずにいる勇は、「893の囲いに手を出すな」と再度相から釘を刺されていた。
誠が仕事へと出向き一人になったベティは、組の下っ端に色仕掛けで絡み、事の発端を探る。

九鬼という、癖の強そうなロン毛のイケおじ登場。

そしてなんとベティが…………服を着ます。
今まで見たことのないベティの姿が。かなり衝撃的。普通に喋る。しかも訛りあり。超びっくりです。


/八発目

――――ベティの名は、六という。過去に九鬼に拾われ、人生は金さえあればなんとかなると教わった。しかしそんなベティもまた、九鬼に捨て駒として使われ、なんの因果かそのまま今度は誠に拾われ彼のオンナとなった。時は現在に戻り、ベティは本性を隠したまま再び勇に近づくのだった。
一方で相は、兄貴の唯一の拠り所になれたらと、強く思っていた。

ベティの過去が大方明らかになります。彼もまた、居場所が無い身だったのです。

段々と明かされるそれぞれの素直な気持ち。特に相は、誠への思いの強さが露わとなる。

誰一人人生が上手くいっていなくて、抱え込む事ばかりが膨れ上がっていく。


/九発目

――――ベティは勇を連れ去り九鬼に差し出す。若頭は組を裏切ろうと言いだす。
山之辺は誠に甘い自分を責め、そのまま美馬に吐露する。事の発端、誠をけし掛けたのは、山之辺に痺れを切らした美馬だった。

ふつふつと燃え始めた火種が、密かに大きくなって、もうすぐ爆発しそうな感じ。
この辺りから貴道会の関係図がめちゃくちゃ重要になってきます。

誠は美馬にけし掛けられて、裏切られた。相はそんな誠の身勝手な行動に巻き込まれ、組を追われる羽目に。若頭は九鬼を蹂躙し彼の兵を従えて貴道会に謀反を起こそうと画策し始める。ベティは勇を騙して九鬼に渡すが本心では自分だって逃げたい。

ぐちゃぐちゃになり、けれどもそれぞれに背負うものや思惑があってのこと。複雑な構図が出来上がりました。


/十発目

――――いつだって傍観者だった相は、組に戻る。
一方、美馬の指示で男に犯される誠を、九鬼・六・勇は見ていた。
相が誠に電話を掛けると出たのは美馬。連れ去られたと知りGPSを頼りに誠の元へと向かうが、そこにいたのは変わり果てた姿でプールに沈められた誠だった。

既に前話で両足を銃弾で打ち抜かれている誠。かなり恐ろしい展開になっています。
まさかプールに首輪されて沈められているなんて。
必死に助けようとする相が、なんかもう泣けます。

二人の愛が見えたようなシーンに感動しました。
まるで映画のラストのような2.の終わりです。


/Bonus track

――――現在の大人相が、幼少期のちびっ子誠と会う……という夢を見る相。

非常に可愛くも切ないお話。辛いです。
もうこれ、これは……。胸を抉られる。また出た子供誠。辛い。可愛い。辛い。えげつない可愛さ。辛い。

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▽波乱に波乱を呼ぶ急展開

「四人のにびいろ」の最高なところは前回のブログに上げた通りですが、本作は更にパワーアップしてえげつない感じに登場人物達が絡み合っていきます。

まず前作から大きく増えた事は、ベティの素性九鬼の存在貴道会を取り巻く争いの表面化。そして誠が相に対して感情を表に出した事。たくさんの変化が2巻では起きています。
書きたいので、細かく挙げていきます。


1.ベティの素性

ほんわかビッチだと思っていたベティですが、九鬼には六と呼ばれています。そして本来は訛りのあるハキハキとした喋り。服もちゃんと着ます。どうやら誠の前ではアホっぽい子を演じていたようです。そして六自身も、九鬼から逃げられず捨て駒として使い捨てられていました。蓋を開けてみれば、後がない、哀しい人でした。


2.九鬼の存在

これが厄介そうです。彼は自分らを貴道会の下っ端と自称しますが、その実何を考えているかというと、金のことしか考えていません。六を育てて、あっさりと鉄砲玉として使い捨てる男。なんかやばそう。


3.貴道会を取り巻く争いの表面化

跡目の話になると、出てくるのは十川兄弟の話題。ポンコツ頭の暴れ馬誠と、お守りの相。ただの傍観者に徹してきた相がナンバー2と言われ、暴力馬鹿の誠が山之辺から可愛がられる。そんな組にいて、必死に組に尽くしてきた役員の面々が良い顔をするわけがありません。こうなることは、きっと時間の問題でした。
兄弟はただ、一緒に居たかっただけなのに。


4.誠が相に対して感情を表に出した事

2巻ラスト、相が誠に思いっきりキスするシーン。これに全てが詰まっているようでした。「一緒に生きたい」という思いが、全力でぶつけられたような感動的な場面です。
また最終話・Bonustrackにある夢のお話は、心が持っていかれます。小さな子供誠が「相を連れてっちゃだめ」と言うのは、誠の本音なのか、それとも相の願望なのか

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▽「四人のにびいろ2.」、誠と相からますます目が離せない

展開の面白さ、キャラクターの良さ、関係性の絡まり具合。
どれをとっても最高な本作、ぜひ一度読んでみてください。きっと世界観の深さにハマると思います。
とってもおすすめです^^


▽2巻セットはこちら
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