お前と2人っきりで逃げたっていい――。順調なお付き合いで、少しずつ成長し喧嘩も減ってきた頃。直人との卒業旅行(温泉旅行券)をかけて、太一が“ミスターS大”に出場することに。全力で茶化しつつも応援する直人だったが、学校内で太一とキスしているところを、美術部の仁科 京に見つかってしまい―――?描き下ろしは甘イチャ年越しカウントダウンH ♥
https://www.b-boy.jp/comics/115028
発売日 2016/11/10
定価 712円+税
レーベル BE×BOY COMICS DELUXE
Contents
▽登場キャラクター
太一(たいち):大学四年生。硬派、人見知り、でもモテる。笑いのツボは浅め。
直人(なおと):チャラめ大学生、太一と同学年。友達多い。普段眼鏡着用。早々に内定を決める。飲み会でよく泥酔する。
仁科(にしな):格好黒ずくめの大人しめキャラ。美術部員で絵を描く。過去に色々あったようで、直人と太一の関係をよく思わない。
ふみ:以前太一のことが好きだったが、自分の想いを伝えた後吹っ切れた。太一と直人の関係を知っている唯一の女子。
太一の母:父とは太一が高校生の時に離婚、家を出る。
▽ストーリー
前作「エスケープジャーニー」第一巻では直人目線が基本でした。本作第二巻では、今度は太一目線が多めになっています。
また、三人目の準レギュラーキャラクターの仁科が登場します。彼の言動・行動が引き金となり三人の関係に大きな変化が生じようとしていた……。
波乱の「エスケープジャーニー2」。あらすじと見所を書いていきます。
special escape
――――年越しを一緒に過ごす直人と太一。
太一は何やら直人に対して焦らしプレイをすることがお気に入りのようで。
書き下ろしが先頭に来る感じで、わちゃわちゃ濃厚Hしてます。焦らされる直人が超かわいい。
年越しの瞬間、「どうする?どうする?!」となってキスする所も二人らしいです。
相変わらずラブラブだよー、という一話。
7th escape
――――内定の決まった太一。飲み会の席でふみに、「俺はこの関係がバレてもいい」と、心の内を明かした。
帰り道、太一から同棲したい胸を告げられると、直人は一気に現実的なことを考え始める。
翌日。美術部の展示をそれとなく眺めていた直人だったが、一枚の絵に惹かれた。その作者は仁科という。その後校舎裏で太一と会い、キスをした。その場を仁科に見られていたとも知らずに。
一気に事態が急転するお話。
まず、周りに知られても構わない太一と、知られるのはリスクがある直人、という現実的な分岐が発生します。今まで二人で居れさえすればなんでもよかったのですが、実際問題そういうわけにはいかない、と後のお話で仁科に気付かされます。
そして、その仁科の登場です。彼は何か闇を身に纏い、二人の関係性を冷たく見ています。二巻中盤で彼の過去が明かされます。
8th escape
――――ミスターS大に立候補することとなった太一。一方で直人は、太一との校舎裏キス写メを仁科から見せられてしまう。仁科から課せられた要求は、なぜか直人をデッサンさせることだった。デッサン中、彼は直人に対し「男同士で本当にずっと居られると思ってんの?」と問いかける。
直人と仁科と別れ太一と会うも、写メの事などをなぜか言いだせずにいた。
後日、卒業旅行費用のためバイトを始める直人。しかしそこに居たのは、同じく新入りの仁科だった。
仁科もかなり複雑なものを抱えているようで、自身がゲイだとさらっとカミングアウトし、自分の絵を褒める直人に対して赤面し、しかし直人と太一の交際に関しては刺を吐きまくる。ややこしくて面倒な男みたいです。
直人は太一に対して仁科の存在を言えないまま、仁科との距離が近づいていってしまう。直人に悪気はないのに。
確かに、何も無いのにわざわざ話して心配を掛けたくはない、というのも分からなくはないです。不安はさせないに越したことはないのだから。
9th escape
――――大学卒業を前に、太一の母親が太一に会いたいという。太一は”母親のようにはなりたくない、好きなものは絶対に取られたくない”という強い気持ちを思い出していた。
そして直人・太一・仁科が学校で初めて顔を合わせるも、特に会話なく終わった。
母親と会う当日、直人も付き添いで行くことに。話をするうちに、太一に彼女はいないのか、という話題に。太一は嘘を付くことなく真っ直ぐに「ここにいる直人と付き合っています」と言うのだが……。
太一の母親が、大変な発言をします。大事件発生。
なんて言ったかというと、太一が同性と付き合うに至ったことを、「こんな……」と表現します。ニュアンスとしては蔑み憐れむ、良くないことが起こり哀れに思う、悲観、みたいな感じです。
最悪ですね。よくもまあそんな言葉が出てくるもんだ。母ちゃんうざうざです。
自分の離婚過程を息子の太一に見せてしまったせいで、女性がダメになり反動で太一が男の人と……と瞬時に思ったみたいなのですが、それにしてもですよね。とんでもないです。
そしてその場から太一・直人は去るのですが、自転車で2ケツ中、直人は下りるとなんと大泣き。もう、読んでいて辛すぎて。同時進行でガンガン泣きました。
それから二人は、どんどん自分たちに対する”世間からの目”を考えるようになってしまいます。直人は特に、あんなにポジティブだったのに。
10th escape
――――仁科の過去。中学時代、幼馴染の葵と付き合っていた。葵を思い描くことこそが、仁科が絵で輝ける理由だった。けれどもある出来事を境に葵とは会うこともなくなり、そして絵も描けなくなってしまう。
そして現在、また自分の絵を綺麗だという人物に出会った。それが直人だ。
絵を学ぶため仁科は葵と離れ離れになり、そして帰省で再会すると、なんと葵は女性と浮気をしていた……。仁科の経験・トラウマのようなものが明らかになりました。ゲイなのは自分だけだった→男同士が上手くいくなんて幻想だ、と思って今日まで生きてきたのでしょう。直人にどぎつい事を言う理由はこれだったんですね。
そして仁科が、「呼び方直人でいいよ」と言われて赤面していることに気付いてくれ直人……!と思いました。仁科君、ラブ的な意味で危険人物ですよ!と。
後半は太一がやばいです。以下に書いていきます。
――――仁科に呼び出された太一は、彼から写メの事など全てを告げられる。そして仁科は太一に対して「お前ら時間の無駄だよ」と言い放つのだった。
その足で太一は部屋探しに向かうのだが、男二人の同棲だと店員に告げた途端、「ほとんど断られる」「偏見がある」などと消極的かつ否定的な意見ばかりが返されてしまう。
そして太一は直人の実家に行ってみるのですが、そこで直人母からは「息子は彼女出来たりとかはしてないのかしら?」とか聞かれちゃうわけですよ。そんな状態で直人と会っても、今度は直人が写メの件を隠してたことについて穏便に話し合えるはずもなく、当然拗れに拗れ……。
重い気持ちになります。悲しい。
喧嘩に発展する過程、自然に各所で発生する良くない流れ。そういったものがえげつないほどリアリティ持って描かれているので、重くて重くて。。
太一がずぶずぶと沼に溺れて行っちゃうんじゃないかと、相当不安になる回です。
11th escape
――――バイトが深夜までだからと話す太一を振り切って、直人は大学前で待つと言う。
一方でそのことを知る仁科は直人のことが気になりバイトを早上がりをした(直人と仁科は偶然同じバイト先、太一は別)。大学の入り口には、雨に打たれる直人がいた。
二人でどこかに逃げたっていい。そう言う直人と、そんな直人を想うからこそ、彼の周りにも理解を得たい。そう考える太一と。
愛ゆえに、太一は自分たちの今後を今一度見つめ直そうとします。
そして雨の中、太一を待ち続ける直人の前にバイクでかっこよく現れる仁科。
登場の仕方がずるいですよ。隣に座って冷えた直人の手を握るのもなんなんですか。何してるんですか。
当て馬ポジションだったはずでは……?
いつの間にか良い男ポジになりそうなならなそうな。
12th escape
――――学園祭当日。見事、太一がミスターS大の称号を得たのだった。けれどもその様子を見ていた直人は、やけに太一との距離を遠くに感じてしまい、泣いてしまう。太一からのファンサを貰おうと皆が大声で声掛けをした瞬間、同時に仁科が直人の顔を手繰り寄せる――――。
これは!!!これはすごいですよ!!!予想を遥に超えた急展開!!!うわーやばいこれ。どーすんだこれ。仁科、仁科よ……。本当にかっさらっていったな人々の視線をかっさらっていったァ……
この瞬間の三人の表情が、迫力があってもの凄いです。
▽今回、描かれているもの
それは”男同士の難しさ”。
第一巻では直人が『自分たちの関係に名前を付けたい』と悩み、『俺は太一と家族になりたかったんだ』と気付き、事態は二人で歩んでいく良い方向へと向かいました。一巻では”二人の中での問題”が描かれていました。
しかし今回、二巻では”二人の外との関係”に目を向け、苦悩することとなります。
読んでいて泣くほど辛かったポイントを挙げていきます。泣
・太一母の発言(9th escape)
太一母は二人が付き合っていると聞いた途端血相を変えておどろおどろしい表情に。この件が一番直人には苦しかったんじゃないでしょうか。その後堪えきれずに泣く姿が辛く、痛ましいです。その後、直人の母も彼女の話題を口にしたりと、彼らにとって追い打ちともいえる出来事が一つ二つ三つ。太一が直人不在の直人実家を訪れた際、直人母から聞かされた「太一君、親友なんだってね」も相当きついですよね。
一度そのことを意識してしまうと、全て関連しているように感じる、負の連鎖に二人共はまってしまう。
・物件情報店での場面(10th escape)
店員さんが「女性同士ならまだしも、男性同士となると物騒な印象を与えたり……」と発言。ここで太一はきっと、「男女より女女より、男男は難しいんだ」と思ったと思います。自分らが一緒に居ることは、思っていたよりもずっとハードなことなんだ、と感じたでしょう……。
・仁科の経験に基づく辛辣な助言
「二人でいれればいいなんてのは甘すぎる」と彼は幾度も言います。実際今まで直人と太一は二人でいれさえすれば全てハッピー、という考えでした。それが、外側から初めて抉じ開けられた感じです。仁科の言うことは、腹立つけど、彼は世間の目の代弁者世間の目の代弁者には違いありませんでした。
・ふみに本音を漏らす太一(11th escape)
ふみは以前、太一のことを好きでした。本気の想いを丁寧に告白してくれた彼女だからこそ、太一も本心を言ったのだと思います。
ふみに共感して、これも涙出るシーンです。二人のことを知っているからこそ、事態の深刻さに気付けるし助言できるけど、助言しかできない。
▽名作、「エスケープジャーニー2」
大学生2人の、夢や希望だけじゃない現実的なお話を、等身大に描かれた作品だなと思います。
ラストに大波乱を巻き起こし、三巻へと続きます。直人・太一そして仁科。三人はこの事態をどのように進めるのでしょうか。
第二巻レビューは以上になります。長くなりましたが、お読みいただき誠に有難うございました!
直人と太一に幸あれ――――!仁科も!
△もうこの写真見ただけで泣きます。ふみちゃんやミカのする恋愛は誰に疑問を持たれることもなく進むのに、なんで直人と太一は、って。あー泣く。
