「四人のにびいろ」シリーズ、完結。
893世界を生きる兄弟の、激動の愛の物語――――。
相と誠、そして勇とベティと、絡まった四人の関係はどのような結末を迎えるのか。
感想をご紹介します。
BL界イチ、愛に飢えたヤクザ兄弟 完結!
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抗争中に命を狙われ破門された誠(兄)は、放心してしまい相(弟)と向き合う余裕はない。
二度と誠から離れないと誓った相は誠を振り向かせようとするが、ずっと蹂躙してきた男に抵抗すらできずしゃぶられる屈辱に、誠は涙がこみ上げた。
そうして、ずっと押し留めていた感情を相は誠に吐き出す。
乱暴に身体を拓かれるだけの行為が、誠に必要とされることだけが、相を生かしていた。
「憎しみでもいいから俺をみてくれ」
そう告げる相こそが、誠の孤独を埋めてくれるのかも知れない——。
一方、本性を現したベティと、ベティを救いたいと揺るがない勇。二人の恋のゆくえは…!?
発売日:2020年2月25日 価格:680円(税抜)
Contents
▼「四人のにびいろ3.」登場人物
十川相(あい):誠の弟。冷静沈着、非常に落ち着いた性格をしている。
十川誠(まこと):相とは異父兄弟。十川家長男。考えるよりも手が出るタイプ。凶暴な狂犬。
勇(ゆう):巻き込まれ型一般ヤンキー。ベティを守りたいという思いをどうしても諦められないでいる。
六:誠の愛人として、ベティの名前でふわふわしたキャラを演じていた。関西人。九鬼(くき)の捨て駒。
九鬼(くき):関西893。十川組の下っ端に位置するが、何を考えているのか腹が読めない、飄々とした男。ロン毛。
▼「四人のにびいろ3.」ストーリー
「四人のにびいろ」1・2と続いてきた本作。
2のラスト、ホテルのプールに沈められて殺されかかった誠を相が間一髪救い出すシーンで幕を閉じました。
過激化する組を取り巻く抗争の結末は、果たして。
各章ごとのあらすじと見所をご紹介します。
【十一発目】
親と思っていた山之辺から破門を言い渡され、”ぼっちゃん”に戻った誠。
組の様子を気にするも相が教えてくれる様子はなく、「兄貴には俺が居る」の一点張りで。
前作で無事?結ばれた誠と相。
それからというもの負傷し療養中の誠に対して相は、惜しげもなく愛称表現をするように。
一方勇は六の事を本当の意味で闇から救い出したいと言い、六の気持ちも動かされ、「這い上がりたい」と思うようになります。
また問題の片桐はといいますと、九鬼が十川兄弟をどっちも殺らなかったことに対して電話でブチギレ、関係もボロボロ。
そんなこんなで片桐はどんどん孤立していくことに。
と、序盤から気の抜けない展開となっています。
【十二発目】
片桐の過去、現在の野望。
山之辺が誠を破門にした真意。
相は誠に対して口淫し、「兄貴の傍に居るべきなのは俺であってベティじゃない」と言い放つ。
九鬼含め水面下で動いてるかに思われた一同だったが、誠一人、突如として衝動的行動に出る。
ついに!怪我で療養中だったはずの誠がついに!
痺れを切らして!超大胆な行動に出ました!
なんと刀一本持って九鬼の元へとカチコミに行ったのです。
命知らずバカってかんじですが、このまま大人しくしている誠じゃないですよね。
それにしても大胆すぎて他の今までの出来事が吹っ飛んでしまいそうです。
【十三発目】
九鬼からベティを取り返した誠。
勢い付いて、相に対して「お前の思い通りにはならない!」と意気込んでみせる。
事務所に連れ帰り誠・ベティ・相・勇の四人で集まると、相に勇を抱くよう命令するのだが、その様子を見て何やら焦る様子の誠であった。
相が勇を抱こうとすると、指示した誠自身が嫉妬&嫉妬する自分に戸惑う、という。
そしてベティには「俺だけを愛してるよな?」と聞くのですが、思いもよらない冷めた返事が返ってきてしまいます。
誠、ギャン泣き。
誠どんどん泣き虫になる。
そして更に事態は急転します。
その場で勇が「まるで相さんは誠さんが一人になるのを望んでいるみたいな……」と言ってしまうんですね。
これが思いっきり核心を突いていたので、相はまたキレて大暴れ。
からの、相が今まで語らなかった自身の感じてきた『孤独』について吐露するのですが、結果的にそれが誠の心を強く動かすこととなりました。
深く繋がるように、互いの気持ちをしっかりと確かめ合うようにして、体を重ねる誠と相でした。
【十四発目】
勇と六は誠達から離れると、自分の事を”生まれた時からゴミ”と自称する六を、勇は真っ向から否定する。
一方その頃、覚悟を決めて裏切り者の片桐を討ちに向かった山之辺だったが、彼が銃口を向けた先では、なんと美馬が片桐を……。
山之辺は自分の死も覚悟の上、組に義理を通すべく体を張りましたが、なんと片桐を撃ったのは彼の味方であるはずの美馬でした。
実は美馬はずっと、山之辺の傍に付きながらも自分はどう頑張っても誠に敵うことはないという事実を悲観し続けていました。
どんなに美馬に実力があろうと、小さい頃からの情により誠を優先されたんじゃ、そりゃやってられないですよね。
その結果が此度の行動で、つまりは山之辺より先に彼の邪魔者を排除し、彼と共に地獄に行こう(刑務所行こう的な)ということでした。
美馬、山之辺の事大好きじゃん……。
ちょっと意味深なセリフも美馬から飛び出すので、必見です。
そして勇と六ですが、勇は六の生き方を否定するでもなく、彼に対して強く、愛情の言葉を掛けました。
六が誠の傍に居た理由は、誠の事を「可哀相、可哀相にね」とあやしている間は、自分がいくらかマシに感じたから、でした。
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【十五発目】
誠と相は、勇と六を家に帰すべく車から降ろした。
一緒に帰ろうという勇に対して六は、涙を流して「一緒には行けない」と言う。
そして、一発の銃声が鳴り響いた。
最後の最後で辛い・苦しい・重い展開来ました。
撃たれます一人。
結果から言うと、大丈夫です。
脳掠めた程度です。
ぜひラスト、ご覧になってください。
最高の兄弟愛が見られますよ。
【Bonus track】
髪もさっぱりして、刑務所を満期出所した六。
ここから出た先で見るものは、光か、闇か。
短髪の六、別人のようでかなり良い感じです。
そして彼を出迎えてくれたのは、勇。
本当に六を光の元へと引きずり出して見せました。
最高の終わり方です。
▼「四人のにびいろ」シリーズ、完結
本作は主に、
①誠と相 ②勇とベティ ③山之辺周辺 ④九鬼及び片桐周辺
といった数か所が同時進行で話が進みます。
そしてそこに縦軸である893抗争が深く絡んでくるので、人物名や時系列はたまに確認しながら読むと、より物語に入り込めていいかもしれません。
(私が893ものの人物名団体名を覚えるのが苦手なだけかもしれないですが(泣))
先に上げた4つの組み合わせが主にどういった経緯を辿ったのか、今一度整理してみたいと思います。
①誠と相
十川家に生まれた二人は、異父兄弟で、誠は十川新造(山之辺組の一次団体である貴道会会長)の息子、相は母親の再婚相手の息子でした。
相はずっと「自分は父親の借金の担保に連れて来られた」と思っていたのですが、実際はそうではなく、「賭博により借金地獄・893の食い物にされた状態から母親と相を救うには、組に無理矢理連れてくるしか方法がなかった」ということでした。
相は長年、誠だけは自分を兄として慕ってくれる、誠の目に映る自分でしか生きてはいけない、そう思っていました。
誠はというと、彼もまた、相だけが母親から構ってもらえる(実際は、母親は相を通して父親を見るようになっていたので、相の前では母親ではなく女であった)、組からの信頼も相が持っている、自分にないものを相は全て持っているという風に感じていました。
互いのすれ違いは組の抗争を通して次第に緩和、晴れて結ばれました。
裏切りも、死にかけることもあり、文字通り命がけの壮大な恋愛だったのでした。
②勇とベティ
1巻一番最初の始まりは、この二人からでした。
誠の命令で裸ジャケット姿で道端に立たされているベティを、通りすがりに彼に一目惚れした勇が連れ去る場面。
それから勇は誠の命令で誠・ベティの前で相に下半身を扱かれたり、誠に仕組まれた挙句893の会議に登場させられたり、九鬼に脅されたり。
散々な目に合いまくりの勇ですが、どんな場面も真摯にベティと向き合い自分の気持ちに素直に行動してきた彼は、最後もちゃんと報われました。
対してベティ、もとい六は、段々と明かされる過去の中でかなりの境遇で生きてきたことが分かってきました。
元々誠の女として彼の傍に居てかなり謎めいた人物でしたが、蓋を開ければ総ては”九鬼を心から恐れるゆえの行動”でしかありませんでした。
そんな彼を地獄のような暗闇から救い出してくれたのが勇だったのです。
希望を見せて、何度も諦めかけた六に光ある世界を見せてきました。
そして六が法の元裁かれ、満期出所し出た先で待っていたのは、勇でした。
とってもいい形で二人が綺麗にまとまって、本当によかったです。
しっかりと刑を受けたところが個人的には禊終わった感あって超スッキリしました。
③山之辺周辺
誠を本当の息子のように愛してしまい、彼を破門せざる終えなくなった山之辺さん。
これだけなら相当人情味溢れる人なのですが、3巻での相及び山之辺の発言、「信頼関係の無さを逆手に取り、相を傍に置いていた」「相なら間違っても自分(山之辺)のために命を張ったりしない」がかなり衝撃的で、いざとなった時に自分を庇ったりしないような人物を傍に置くという、なんとも珍しい行動を取っていた事が判明します。
山之辺さん、肝据わりすぎじゃないですか……?
④九鬼及び片桐周辺
九鬼は基本、地下活動を得意分野とし、自分では手を汚さずにじわじわと敵を蝕む性根の悪いやつだな、と思いました。
六から”鬼”と表現されるように、人を人とも思わないような人で、最後までそんな感じでした。
問題の裏切りの片桐ですが、リーマン時代、株式市場の仕事で自らが指示した残酷な行為(株の無理な売買で顧客一家を死に追いやった)、そこから転じて893になるというなんとも奇特な人でしたが、その野心は途絶えることがなくここでも天辺を取りたいと望んでいました。
結果的にそれがあだとなり、彼はただの謀反者となってしまい、美馬に撃たれました。
部屋住み時代の山之辺にすら怯え、893を見下しながらも893に怯え、彼は自分の野望も成し遂げられずに散っていきました。
美馬について、彼は最初から片桐の首を取る気で付いてきたのかとも思われます。
ずっと含みのある意味深な表情を浮かべていた様子ですし。
以上、思ったことまとめでした。
長々お読みいただき、誠にありがとうございました^^
▼「四人のにびいろ3.」誠と相、幼少期の可愛さたるや
1.2.3巻共に言えることですが、なんといっても誠と相二人の幼少期がものすごい可愛い!!!!
その辛い境遇も相まって、読んでいて悶え苦しむほどの可愛さです。
特に3巻のラストでは、二人が可愛く寄り添うようなシーンが描かれており、胸が熱くなります。
あまりの可愛さに悶絶すること間違いなしです……!
▼「四人のにびいろ3.」相と誠、勇とベティ.
彼らが愛を見つけて、繋がりを深いものとするのには、本当にたくさんの試練がありました。
経ちきれない過去、誰かを頼る怖さ、自分に対する自信の無さ。
そういったどす黒いものが交差して、晴れていく様子が、非常に情熱的に描かれた作品だと思います。
四人全員がとんでもない絡まり方で始まった物語でしたが、最後の最後まで心理描写が本当に丁寧で、最高によかったです。
何度でも読み返したい作品です。
▼「四人のにびいろ」ドラマCD化!
ドラマCDレーベル「Montblanc Records」さんより発売するそうです。
めでたい^^
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こちらですね、デフォルメキャラ大集合で、とてつもない可愛さです。
見たら全部欲しくなるやつです。
本当にかわいい(´ρ`)
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