愛すべき最悪――豪華ラインナップで贈る、サイテーな男子達のサイコーなエロ恋。
https://libre-inc.co.jp/catalog/detail.php?product_id=13073
◆表紙 秀良子 ◆漫画秀良子「はいすく~る☆ララバイ」蛇龍どくろ「グッドエクスキューズ」おげれつたなか「逆さ文字なら好きだと言える」市川けい「道連れ」はらだ「やじるし」藤生「ブチオカ」原作 犬時 漫画 笑平「オレは人気者」プルガリア「ケモノカモヨミユキチャン」つゆきゆるこ「せまいせかいに」久保田「ゲスとクズは惹かれ合う」 ◆口絵 コタケ yoco ためこう ハナ
発売日:2014年9月10日 定価:900円+税
Contents
▼最っ高なアンソロジー
表紙を見てビビッと来た方は相当ハマると思います。
このタトゥーの感じとか、表情とかが既にたまんないですよね。
その期待を裏切らない濃密&ゲスな内容満載です。
胸糞というよりも気持ちよくクズな感じ。
各話毎にストーリーをご紹介していきます。
はいすく~る☆ララバイ/秀良子
不愛想 柏原×クラスの人気者 小泉君
キラキラとして天然で、可愛らしい小泉は女子から大人気。
対照的に柏原はぶっきらぼうで不真面目。
ある時保健室で授業をさぼり、そのまま眠ってしまった柏原。
目覚めると手がベッドに縛り付けられ、なぜか隣には小泉がいた。
共学高校が舞台。
ちょい不良気味男子が、可愛い系男子に取って食われるというお話。
身動きが取れずされるがままの柏原は、なす術も無く小泉の尻に強制挿入させられます。
このね、快楽に飲まれたくないのに負けてしまう根暗っぽいマイルドヤンキーと、対して普段からは想像も出来ないような悪い顔で襲い、更には恍惚な表情で快感を享受する天使という、どっちも最高なギャップを見せてくれます。
読み切りという短さの中に濃厚な部分をギュッと凝縮してある作品です。
また小泉の表情がいい。発言も良い。
このアンソロジーは初っ端から遠慮なく飛ばしていく…!
この二人の物語は同じく秀良子先生表紙絵のシトロンアンソロジー「女子BL」にて、続編を読むことができます。
そちらは女子視点ですが、カップリングはあくまでもこの二人ですのでご安心下さい。
△画像上=小泉君、下=柏原
グッドエクスキューズ/蛇龍どくろ
クズ営業マン 森×冴えない書店員 日野
職場で女子たちが噂をする森という男は、相当クズでやり手らしい。
そんなしょうもない噂話に日野は飽き飽きしていた頃、なんと当の本人からご飯へと誘われてしまう。
気付けばなぜか一緒にハンバーガーを食べていた。
どこまで本気かわからない森の言葉と眼差しに、図らずもキュンときてしまう日野であった……。
クズとの恋愛はこうして始まるのかな、というお話です。
太陽みたいな陽キャと終始ドギマギする真面目君という対照的な二人が、テンポよく描かれています。
さくっと読めちゃう読み切りです。
やじるし/はらだ
俺様クソ野郎(仮)×パシリ君(仮)
大学の新歓コンパで声を掛けてきた男子に一目ぼれした。
告白したものの、関係はただの都合の良い使いっ走りでしかなくて。
悩んだ末、距離を置こうと行動するのだが……。
本作は名前の登場しない大学生二人の物語。
パシリ君が純粋そうで、それはもう健気で、いじらしいし可愛らしい。
都合よく呼び出されているだけだと分かっていても、好きだから言われるままに行動してしまいます。
そしてそんな彼をいいようにしている攻めの俺様君ですが、彼もまた完璧に下衆屑になりきれてないというか、感情をバリバリ表に出したりして人間味があって凄く良い。
発言も行動も態度も、欲しかった下衆、詰まってます。
最高。
「こんな一途な子に酷いことばっかりしてムカつく!」と思うかもしれませんが、ぜひ最後まで見てほしいです。
題の”やじるし”をまさかの形で回収します。
必見です。
読み終わって悶えること間違いなし。
この短さでこのストーリー性の深さ、はらだ先生流石過ぎます♡
逆さ文字なら好きだと言える/おげれつたなか
さぼり気味大学生 浩二×中卒・趣味女と酒 亮
浩二は亮の家で寝ている時だけ、何か暖かいものに包まれるような感覚を覚えていた。
昔から人付き合いを好まず一匹狼の亮だったが、浩二は彼と出会った頃の彼の笑顔を忘れられなくて――――。
ああ!!!!!!!!
こういうのが!!!!!!!!
好き!!!!!!!!
やばいって!!!!!!!!
きましたおげれつたなか先生の平凡大学生×髪の毛プリン・クラブとかパチンコにいる・口舌ピアス・目付き悪い常にクマがある男子!!!!
そしてそんな奇抜な彼が受けで、それはそれはもう体液という体液を……
まずは冒頭、浩二が先輩に連れられて来たクラブにて、亮が女と居る(しかも膝に女乗せてキスしてる)のを見つける、というシーンから始まります。
内容バレが大きく生じてしまうのであらすじは簡潔にしました。
後半で明らかになる二人各々の心の中が……ああぁぁぁ……
今まで綺麗目男子を多く描かれてきたと思うのですが、今回受けの見た目が過去一リアルで、ちょいアウトローというか社会不適合(作中で亮が自分で言ってた)というか。
とっっっても良いです。
そんな彼と普通の大学生浩二がどういう関係でどういった感情の変化が起こるのか、ぜひぜひご覧になってください……!!!!
ケモノカモヨミユキチャン/プルガリア
ニューハーフバーのキャスト ミユキ×バーのお客でジムインストラクター 鎌田
ニューハーフバーに勤めるミユキには、近頃ある悩みがあった。
それはストーカーによる被害&犯人に心当たりが無いということ。
ある日怪しい人物を店の前で見たという鎌田の証言により、ストーカーを捕まえるべく動き出す店のオネエ一同だったが。
ギャグ気味のお話です!
ついに笑いあり作品きました。
笑えてストーリーしっかりしててキャラ立ちも凄い。
そんなニューハーフバーを取り巻くミユキちゃんのお話。
テンポがものすごく良く、ギャグ系です。
読み込むお話が続いたので、ライトな作品有難い。
最後にどんでん返しもあって、楽しく読めました^^
△画像左=ミユキちゃん
ブチオカ/藤生
見ず知らずの人×掲示板で男を釣る 余海(よのみ)
大学生の余海は顔も名前も隠して夜な夜な男を釣る。
暗い部屋で目隠しをして、出し入れされるだけの淡白なプレイに勤しむ。
ある日大学で同級生の蟹由(かにゅう)とゼミの話をしていると、余海の「パオン」という像の鳴き声のような携帯着信音が鳴ることから、余海は「ゾウの背に乗るのが夢」と溢すのだった。
なんだか少し不思議なお話でした。
4コマカット形式で物語は進んでいきます。
また8ページと非常に短い漫画です。
それでいて、19歳少年の虚しさみたいなものが描かれていました。
余海は蟹由に気があって、抱かれたいと思っている。
けれどそれを暗い部屋で顔も見えない相手に当てはめてみるだけ、で。
夢を思い描くことはあるけれど、現実を生きている、っていう。
その差が悲しいような、でもそれが普通なような。
漫画自体は短いですが、なんとなく頭に残るしなんともいえない気持ちになりました。
△余海君
ゲスとクズは惹かれ合う/久保田
お金がないニート 八神龍太郎×金貸し屋 山田一(はじめ)
二十歳のニート龍太郎は、山田一から多くの借金をしていた。
彼からは「自分以外からは借金するなよ」と強く言われており、また一は自分が何の仕事をしているのかを龍太郎には頑なに教えようとしない。
彼らの出会いは龍太郎が小学校の頃へと遡る。
ぶっとびニート龍太郎と、そんな彼をほっておけずにお金を貸してあげる一。
二人は龍太郎小学生、山田一は高校生の時に彼らは出会い、会っていなかった時期があったものの、現在は再会し一緒に居る。腐れ縁のような関係。
線が太くてダイナミックな絵柄で、すごく勢いがあります。
龍太郎が真っ直ぐすぎるというか愚直で危なっかしく、一はそんな彼をほっておけなくて。
一は借金取りなのに優しさがちょっと隠しきれてない感じ。
真ん中分けヘアーがなんか良い。
なんだか目が離せない二人でした。
せまいせかいに/つゆきゆるこ
澄滋に世話されるダメ男 夏路(なつじ)×几帳面な27歳会社員 澄滋(すみしげ)
澄滋が帰宅すると、夏路が連れ込んだ女と寝ている。
夏路とは小さいころからの仲だったが、近頃そんな彼との関係はこのままでいいのか、と思い悩むようになった。
そのうち澄滋は妹から婚活を提案される。
澄滋頼りで自堕落に生きる夏路だったが、澄滋が婚活について話した途端態度が急変、夏路は澄滋をレ○プしてしまう。
生活も、異性との付き合いもだらしない夏路は、澄滋が世話をしてくれるのをいいことにズルズルとこの年まで生きてきました。
そして変わらずに過ごしていくんだろうな、と甘い考えを抱いていたようで、澄滋が環境を変えたい将来をしっかり考えたいと言ったときに、何かが壊れたかの如く錯乱してしまうのです。
大人になった今改めて読むと、なんとなく内容がわかるような気がしました。
ずっと遊んでる頼りにしてる人が結婚するなんてなったら、それはショックですよね。
相手の結婚云々より、「現状のまま生きていくつもりだったのは俺だけでしたか」となりそう。
読んでいて切ない気持ちになりました。
オレは人気者/原作 犬時 漫画 笑平
天然でドジっ子 小笠原洋介×いじめっ子 鈴木五郎
高校一年生最初の始業式に教室へと大慌てで登場したのは、見るからに気の良さそうな洋介。
彼と同じ幼稚園だったことを思いだしたいじめっこ五郎は、彼には昔おもらし癖があったことをクラスメイトに言いふらす。
五郎は洋介をいじめの対象にしようと動くも、なぜか仕掛けること全てが裏目に出てしまい、逆に洋介の株を上げる事態に。
いじめ役に回ろうとしていた五郎でしたが、「高校生にもなって……」と周りから白い目で見られるように。
そして逆に、皆から親しまれていくのは洋介で。
しかし実のところ、洋介には五郎に隠していたある秘密があった……。
というね。それはもう、非常にわくわくするお話です。
最後のほうで明かされる洋介の秘密、それを自ら明かす洋介のギャップに驚くこと間違いなしです。
犬時/笑平先生の太くて躍動感ある絵、起承転結よく考え込まれた展開、それらが合わさってとても面白い漫画を毎回出されます。
ストーリーが全く単調でなく、一捻り二捻り入れてくるので最高に面白いです。
読み切りといえどそれは健在で、あっと驚く展開が今回も巻き起こりました。
必見です。
△右上=五郎、左下=洋介
道連れ/市川けい
顎鬚ロン毛・何又男 加賀×かわいい系・浮気男 佐原
体の相性が良く、ずるずると関係を続ける加賀と佐原。
ある日、佐原は「本命が、加賀さんが付けたキスマークに悲しがったから、もう会わない」と言う。
時は流れ、その後二人は偶然再会。
今度は加賀が「本命が出来た」と言い、佐原は思わぬ言葉をかける。
二人共、互いの事を「遊び」として処理してきましたが、佐原に本命が出来たことによってちょっと関係に変化が生じました。
いなくなってから意外と大切だったことに気付いたり、軽く嫉妬したり。
人間の上手くいかない感情がコンパクトに上手く描かれている作品でした。
この楽な関係、手を切るのも惜しく感じてしまったのでしょうか。
どちらかが心から幸せになるわけでもなく、ちゃんと下衆なお話でした。
▼アンソロジーの良い所
各出版社さんがちょくちょく出す、アンソロジーという分厚くて大き目な漫画本。
一つの大まかなテーマに沿って作家さん達が寄稿するわけですが、買うか迷うことがあることもしばしば。
今回はそんなアンソロジーの良さをあげていきます。
○作家さんを知れる
本作で言うと10名もの先生方が執筆参加されてます。
それゆえ知らなかった作家さんの画風・物語の運び方・雰囲気・絵の線の太さやアナログかデジタルか等、本を買って中を見ないと知れない情報を一気に見ることができます。
雑誌だと1話からであれば内容もキャラクターも分かりますが、途中からだといまいち入り込めなかったり……。
ですがこういったアンソロジー形式であれば読み切り・一話完結型です。
新しく作家さんを知るには、アンソロジーはもってこいだなと思います。
○好きなテーマに沿ったお話が一気に沢山読める
アンソロジー=作品集ということで、決められたお題に沿ったお話が複数読めるよ、ということですね。
今回のような「下衆」や「屑」といった性格的なものや、性癖や趣味趣向・外見に沿った「除毛」「ロストバージン」「女装攻め」「筋肉」など、そのテーマは多岐にわたります。
好きな題材を存分に楽しめるというのが良い所かと思います。
オススメアンソロジー達を、今度記事にしてみたいと思います^^
▼「下衆BL」
最低な男たちの、更なるギャップを楽しみたい方におすすめです。
クズな思考の裏側に実は愛があったり、愛ゆえに下衆な振る舞いをしていたり。
ただの独りよがりな胸糞野郎ではなくて、しっかりと相手がいて、その相手に対して何か理由があってクズい、といった感じなので、気持ちよく読めるし読み応えたっぷりです。
そして何といっても、一話一話が非常に濃いです。
起承転結しっかりした話の掘下げ方が上手いお話ばかり。
ぜひそんな個性溢れる下衆達の世界を覗いてみてください^^
△2020年3月現在、オンラインショップにおける新品紙書籍は在庫が無いようでした。
電子はバリバリ配信中ですので、「下衆気になる!」という方はぜひ…★
