出版社:リブレ 発売日:2015年2月23日 定価:638円+税
レーベル:CITRON COMICS
クズ男に惚れた罰でしょうか――。
https://libre-inc.co.jp/catalog/detail.php?product_id=13165
新歓で慣れない飲み会と酒で圧倒されていたところ、声をかけてくれたのは見るからに好青年の同級生。「このあとフケねえ?」と誘ってくれたが…。
下衆、屑、変態、ドM、鬼畜、社畜、ラブコメ、切ない系など、あらゆる“はらだ”節の良いトコロをつめこんだ読み切り作品集。あの「変愛」の続編&描き下ろしと、歪みシリーズも収録。
Contents
▼登場人物・ストーリー
表題作「やじるし」含め、結構ニュアンスダーク多めの本作。
気になる登場キャラクターと内容をご紹介します。
▷「やじるし」
いじめっ子男子大学生×同学の超健気パシリ君
大学のサークル歓迎会で出会う二人。
一人は一人を好きになるも、彼のパシリとして過ごす日々。
やがて命令はシモの方にまでまわり……
本作の題である”やじるし”という言葉の回収が、ものすごく面白い本作。
ただのクズかと思いきや、しっかりと人間味を出してきたりと、引き込まれる展開でした。
クライマックスへの運びが流石の面白さです……!
▷「ひきずる音」
人当たりの良い学生駿一郎×幼馴染優守
幼少期に遭った事故により左足を引きずって歩く駿一郎と、彼の怪我の要因を作ったと自分を責め続けてきた幼馴染の優守。
優守は「駿一郎には自分が常に付いていないとダメなんだ……」と、見事な過保護に成長。
対する駿一郎も、それを甘んじて受け入れている様子だった。
あまり何を考えているのか分からない表情を時折浮かべるのは、駿一郎。
逆に分かり易いほどに駿一郎の行動・言動に対して一喜一憂し、時には激しく声を荒げたりと、感情表現の波が激しい優守。
――――という構図で来ていたはずのお話が、最後、とんでもない超展開を迎えます。
ラストに向けて、ハラハラドキドキすること間違いなしです。
▷「歪みはじめ」
ドS調教系教師×地味な控えめ君
ある教師は、消去法で自分のターゲットの生徒を決める。
今回選ばれた彼は、続くのか、それとも。
孤独っぽい生徒をピックアップしては自分好みに性的調教する悪ーい教師のお話。
友達もおらず、家庭環境もあまり良いとは言えない冴えない子に標的を定めて、優しくしてみたり突き放してみたりと、彼の関心が自分へと向くように上手く仕掛けていく。
そして逃げられないタイミングで体の関係を迫る、というやり方。
生徒君、入ってはいけない深みにはまってしまった感満載ですが、本人も今までにない刺激的な出来事に、満更でもなさそうという……。
ダークネス。
▷「痴漢されてる彼を偶然発見して、的な展開で」
真面目で目立たない系クラスメイト×チャラ目男子高校生
(※モブ描写あり)
朝の満員電車で、突如痴漢をされてしまった男子高校生。
同じクラスの男子生徒にそれを見られており、その後痴漢対策を二人で考えるのだが。
ちょっとチャラ目?のDKが、痴漢されるところを気真面目そうな影の薄いクラスメイトに目撃されてしまいます。
車両を変えてもなお標的にされ、そしてついにはクラスメイトと一緒に乗車したにも関わらず彼の目の前で犯されてしまう……というお話。
こちらもかなり強烈な展開を迎えます。
刺激強めです……
▷「れいの男 / 残業の男」
清掃員?の若い男×ゲイA○がオカズの残業リーマン
一人、夜中のオフィスで残業するリーマン。
霊感は全くないにも関わらず、ふと霊的なものを意識した途端急激に怖くなってしまった彼は、「そうだエロいことをしよう」と思いつく。
さっそくパソコンで検索を掛けて耽っていると、ドアが徐に開く音がして、見知らぬ男が顔を出した。
掃除の見回りだという男は、「そのまま続けて」と言い、そしてなんやかんやでまぐわるのでした。
彼の正体は一体……。
一瞬ヒエッとなるような、アホエロハイテンションラブコメディです^^
「ひきずる音」「歪みはじめ」「痴漢されてる彼を偶然発見して、的な展開で」とズシっと重みのあるお話が続きましたので、ここで明るいお話になりなんだかありがたかったです^^
▷「変愛 間男変」「変愛 カキオロシ変」
過激シチュエーションプレイに付き合わされるフリーター男×超変態ドM塾講師
宅配のお兄さんプレイに始まり、モノホン警備員制服プレイにおわる。
でました変愛でおなじみ変愛コンビ。カップル。
ドM塾講師のご要望に合わせて、毎回様々な凝ったシチュエーションプレイを繰り広げます。
超最高にアホでエロくて、人生を変な方向で楽しんでる感じが良いです^^
この二人にはもっともっと楽しんでもらいたいものです!
ちなみに「b-BOY ドS はずかし剃毛プレイ特集」では二人の良い『ハラハラ剃りプレイ』が見られちゃいますよ!
▼「やじるし」、癖が強い
本作の特徴として、かなりお話に癖があることが言えるかと思います。
ハッピーエンドが主流のBLにおいて、とっても濃い闇を持ったキャラクター達の関係性が、そのまま突っ切って行くお話は結構少ないのではないでしょうか。
特に「ギャーーーこれはやばい」と感じた内容を載せていきたいと思うのですが、各話の”どんでん返し”の一番面白い部分を直接的に記述してしまうので、内容全く知りたくないよ!という方はご注意下さい。
大丈夫な方は、どうぞ^^
①「ひきずる音」:駿一郎
左足を事故により上手く動かせなくなった駿一郎ですが――――
彼、本当は動かせます。
お話の最後の最後で、彼の狂気的な部分がバーっと明らかになるのですが、なんと駿一郎、優守を一生引き止める、繋いでおくためだけに足に後遺症が残ったフリをし続けていたんですね。
それまでずっと柔らかな表情で友人達にもにこやかに接していた駿一郎。
まさかそんな黒い部分があるなんて、非常に驚きました。
またそれが明らかになるシーンが、寝ている優守の横で狂気的な表情と脳内会話で自○に耽りながら明かされるんですね。
怖いです。
まさに歪み愛でした……。
②「痴漢されてる彼を偶然発見して、的な展開で」:真面目で目立たないクラスメイト
こちらもかなり恐怖を覚えます。
まず痴漢被害にあってしまうチャラ目君ですが、初めて痴漢された日、同じクラスの影薄め男子が同じ車両内のちょっと離れたところに居るのを見かけます。
そして「クラスのやつに見られた……!」と大焦り。
もちろん被害に遭ったこと自体にも当然大パニック。
そして後日、またしても標的にされてしまい、その後通りがかった影薄め君に言葉で慰められます。
そして彼から、「次から一緒に車両乗ろうか?」との提案が。
チャラ目君は内心ほっとして「お前いいやつだな……」となるわけです。
ここまでは、犯罪被害にあって可哀相なチャラ目君と、そんな彼を偶然目撃してなんとか助けようと行動を起こすクラスメイト、という構図。
が、ラストで一転することになるのです。
なんとそのクラスメイト君、
彼が実は全ての痴漢被害を計画して作り上げていたのです!!!!!!
いやーーーー怖い!!!!
何それ!!!!
ビジュアルを見ていただきたい!!
すっごくくりんとした可愛らしい目で人畜無害そうで可愛い顔をしているんです。
そんなチワワみたいな彼がなんと、大の悪そうな大人達をお金で雇い、自分の前で数人がかりで痴漢するように仕向けていたんですーーーー!!!
つまり影薄め君は、『NTRに興奮を覚える』という癖を持っていたのでした。
以上、BLを読んでいることを忘れそうなほど震えあがったシーンたちでした。
▼刺激しかない!はらだ先生ワールド
超おすすめであります。
期待を裏切らないどころか超斜め上を行くお話ばかり。
ぜひこちらの作品で、はらだ先生のハイテンションかつダークな世界に浸ってみてはいかかでしょうか^^